はじめに
こんにちは!
今回は『ぞうくんのあめふりさんぽ』(なかのひろたか・作・絵, 福音館書店, 2006年)の感想を書いていきます。
作品の3つの魅力をまとめてみました。
魅力1 ぞうくんのギャップがかわいい
本作の魅力の一つは、ぞうくんのギャップです。
「ゾウ」と言うと大きくて力持ちなイメージがあります。
また、同シリーズの『ぞうくんのおさんぽ』では、ぞうくんが散歩の途中で、わにくんやかばくんと会い、どんどん背中に乗せて、力強く歩いていきます。
そんな風に力持ちで頼りになるぞうくんですが、本作ではなんと、わにくんやかばくんに乗せてもらう側になります。
本作では、雨の日にぞうくんがお散歩に出かけ、わにくんと会います。
わにくんに池の中の散歩に誘われて「いいとも」とついていきます。
ついていくのですが、池は段々深くなります。
そして、ぞうくんとかばくんの、こんなやりとり。
「かばくん、だんだん ふかくかるよ」
「へいきだよ。およげば いいんだ」
「ぼく、およげない」
「それなら、ぼくの せなかに のると いいよ」出典:『ぞうくんのあめふりさんぽ』(なかのひろたか・作・絵, 福音館書店, 2006年)
ぞうくんの「ぼく、およげない」というセリフが、なんとも頼りなさげで、ギャップがあってかわいいのです。
魅力2 「押すなよ、絶対押すなよ」的なフリとオチ
二つ目の魅力は、フリとオチの面白さです。
ぞうくんが水の中にお散歩に出かけると、まず、かばくんが、ぞうくんを背負います。
次に、かばくんとぞうくんを、わにくんが背負います。
ここまではいいです。
次に現れたのはなんと、かめくん!
体格が明らかに小さい!
しかし、ここまでの流れ通りかめくんは
「それなら、ぼくも のせて あげる」と言って、ぞうくん、かばくん、わにくんを背負って歩き始めます。
『ぞうくんとおさんぽ』読者なら、いやそうでない人でも分かるはずです。
あ、これ無理あるな、と。
かめくんはあっさりと「ぼくも のせて あげる」と言ってるけど、あ、これ無理あるな、と。
そこには、かの有名な「転ぶなよ、絶対転ぶなよ」を彷彿とさせるフリがあります。
そして案の定、かめくんは次のページで盛大にずっこけるのです。
「かめくんは ちからもちだね」
「うん うん、ぼくは おいけの なかでは…ち・か・ら・も…」
うわーっ出典:『ぞうくんのあめふりさんぽ』(同上)
この、「ぼくは おいけの なかでは‥」からの盛大なずっこけ。
フリとオチが面白いのです。
魅力3 泳げないぞうくんにハラハラ(汗)
実は、もう一つ本作にはフリとオチが埋め込まれています。
そのフリとは、2ページ目のぞうくんのセリフです。
「かばくん、だんだんふかくなるよ」
(中略)
「ぼく、およげない」出典:『ぞうくんのあめふりさんぽ』(同上)
ぞうくんは最初に「ぼく泳げません」宣言をしているのです。
このフリによって、読者はかめくんが転んだ瞬間に「えっ、ぞうくん泳げないのにどうするの!?」というハラハラを味わえます。
そして最後にはオチとして、ぞうくんがぷか〜っと浮いて、「ぞうくんがおよいだ!」とわにくんや、かばくんたちと同じ視線で驚き安心するのです。
この「ぞうくん泳げないのにどうするの!?」という不安感から、「なんだ泳げたのか、よかったー」という安心感への気持ちの変化。
緊張と緩和というやつですね。
フリとオチが面白いです。
まとめ
今回は、『ぞうくんのあめふりさんぽ』の感想を書いてみました。
『ぞうくんのおさんぽ』、と比べると、「ぞうくんが泳げない」というフリオチがある分、ちょっとリッチな読み味かもしれません。
それでは、また次回。