憂うつな夜に救われる『人間失格』名言集

名言

こんにちは!
本記事を見つけて頂きありがとうございます。

本記事は、憂うつな夜に救われる『人間失格』の名言集についてです。

筆者自身の経験として、仕事で失敗したときや、人間関係で嫌な思いをした夜に
「あー、人間失格にこんなセリフあったな」
と思って救われたりしています。

自分の苦しみを言語化してもらえる気がするのですよね。

人間失格の主人公・葉蔵(ようぞう)は、人間関係を苦しみに苦しみ、最後は廃人のようになってしまいます。

彼の言葉に触れることで、読者は自分の苦しみを分かったもらったような気持ちになり、気持ちが楽になるのではと思います。

今回は、そんな『人間失格』の名言集をお届けします。

『人間失格』名言集

名言① 自分には、禍のかたまりが…

自分には、禍(わざわい)のかたまりが十個あって、その中の一個でも、隣人が背負ったら、(中略) 隣人の生命取りになるのではあるまいか。
出典:『人間失格』(太宰治、新潮文庫、193刷、p12)

葉蔵がどれだけ苦しんでいたかが伝わるセリフですね。

名言② 何でもいいから、笑わせておればいいのだ…

何でもいいから、笑わせておればいいのだ。とにかく、彼等人間たちの目障りになってはいけない、自分は無だ、風だ、空だ
出典:『人間失格』(太宰治、新潮文庫、193刷、p16)

これは、人間関係に繊細な方は共感する部分があるのではないでしょうか。

過去に集団内で叩かれた経験があったり、傷つきやすい人は、自分を隠し、相手に合わせ、目立たないようにすることで、傷つかないようにします。

目立たなければ、相手と違わなければ、叩かれにくいからです。

その結果、確かに叩かれにくくはなるけれど、自己表現が出来ず、他者に合わせ続け、息苦しい人間関係の中で疲れてすり減っていく、というのは、あるあるな気がいたします。

名言③ 人から与えられるものを、どんなに自分の好みに…

人から与えられるものを、どんなに自分の好みに合わなくても、それを拒むことも出来ませんでした。
出典:『人間失格』(太宰治、新潮文庫、193刷、p17)

これも、上と同じですね。

他者から叩かれないように、他者の機嫌を損ねないように、与えられたものは、たとえ自分の好みと異なっても喜んで受け取る。

自分を消して身を守る心理が表現されています。

名言④ 人間恐怖を、たとい一時でも、まぎらす…

酒、煙草、淫売婦、それは皆、人間恐怖を、たとい一時でも、まぎらす事の出来るずいぶんよい手段である…それらの手段を求めるためには、自分の持ち物全部を売却しても悔いない
出典:『人間失格』(太宰治、新潮文庫、193刷、p47、…部:中略)

主人公の葉蔵が、どれほど人間を恐怖していたかが伝わってきますね。

名言⑤ 人間、失格。

人間、失格。もはや、自分は、完全に、人間でなくなりました。…自分がいままで阿鼻叫喚の中で生きて来た所謂「人間」の世界
出典:『人間失格』(太宰治、新潮文庫、193刷、p147-149、…部:中略)

葉蔵がアルコールと薬物に苦しめられた果てで、田舎での療養生活を始める際のセリフです。

「阿鼻叫喚」には、人間社会で生きることの過酷さが読み取れます。

また、人間を恐怖し理解できずに苦しみ、アルコールや薬物に溺れた自分を「人間」未満の存在「人間失格」であると表現する部分には、痛切さがあります。

繊細で生きづらさを感じながら生きていると、人間社会での生活の大変さについて、共感出来る部分があります。

これらの名言からは以下のことが分かります。

葉蔵は、とにかく他者が理解できず、他者に怯えて生きてきました
「人間恐怖」という単語が本作には何度も何度も出てきます。

葉蔵と読者を繋ぐ糸:他人が怖いということ

「他人の怖さ」には、いろいろな種類があるかと思います。

葉蔵の場合は、「一貫性がない部分」が恐怖でした。

急に態度が変わる他人

葉蔵は、他者を「牛の尻尾を持つもの」と捉えます。

一見穏やかに見えたと思ったら、急にアブをピシリと打ち殺す、牛の尻尾だというのです。

それは、他者の態度に一貫性がないことに対する恐怖です。

さっきまで優しかったのに、どうして急に冷たくなるの?

いつもは優しいのに、なんで急に怒るの?不機嫌になるの?

普通に話していたら、急に気にしていることを指摘されたて、傷ついた…

こんな風に「他人には常にこうあってほしい」「自分をこんな風に見てほしい」という期待が裏切られたとき、人は傷つきます。
他人が怖くなります。

裏表が激しい他人

葉蔵は小学生のときに、地方議員の父の講演会を聴講しました。

その帰り道、父の講演を聴いていた人たちが、「あの講演はだめだ」「下手くそでつまらなかった」と散々悪口を言うのを耳にします。

しかし、その悪口を言った人たちは、父の前では「すごくいい講演だった」「おもしろかった」と父を持ち上げるのです。

この人間の表裏の使い分け、内と外の一貫性のなさに葉蔵は恐怖していました。

たしかに、自分が接している他人の態度が信用できないというのは怖いですね。

他者が怖いことは弱みではない、強み。

でも、他者が怖いことは、悪いことばかりではありません。

他人が怖い人は、人と接することの怖さを知っています。

痛みを知っています。

だからこそ、他人に痛みを想像することができます

それによって、他人に対して優しくすることが出来る

もちろん、いつもいつも優しくしなくてもいいです。

そんなことをしたら消耗し、あっという間に電池切れになってしまいます。

ポイントは、優しさの選択肢を持っている、という点です。

優しくしたい相手に、優しくしたいときにできるということ。
それは、他者と絆を結ぶ上でとてつもなく大きな力となります。

優しさを知っているということが、他人が怖い人にとって、大きな財産なのです。

今日からできること

とはいえ、優しい繊細さんには、しばしば憂うつな夜はやってきます。

優しすぎるがゆえに、繊細すぎるがゆえに、昼間の活動において神経をすり減らしたり、傷ついたりして、疲れてしまいます。

エネルギーを使い果たしてしまうのです。

そんな繊細さんが、すぐに出来るエネルギー回復法を3つご紹介します。

自分を労るセルフトーク

突然ですが、セルフトークってご存知ですか?

セルフトークとは、自分への声掛けです。

自分に対して優しい声がけや、労りの声がけをすることで、心のエネルギーが回復します。

でも、自分への声掛けと言われても、どんな風に声掛けすればいいの?と迷ってしまいますよね。

そんなときは、以下の例をご参考にしてください。

  • 私はよくやってるな。もう十分だ。
  • 私は、私のままでいい。
  • 私って、頑張っている。
  • 私って、えらすぎる。
  • 私、がんばりすぎだわ。適当でいいのに。

こんな感じで、自分を褒めたり、労ったりする言葉をかけてみてください。

自分の気持ちを吐き出す

自分の気持ちを吐き出すのも、心理学的に癒し効果があります。

よく勘違いされがちなのは、「気持ちって、ポジティブなものじゃないといけないのでは?」というものです。

もちろん、元気なときにはどんどんポジティブな気持ちを吐き出したらいいと思います。

  • 今、最高の気分!
  • 今日もいい一日だったな。
  • 人生って、なんて楽しいんだろう。

ですが、生きているとそう毎日いいことばかりではありません。

仕事で失敗したり、人と比べて落ち込んだり、他人の何気ない一言で傷ついたり。

特に繊細さんは、むしろ傷つかない日の方が多いのではないでしょうか。

傷つき、落ち込み、疲れ果てている日に、ポジティブな気持ちになるのは中々難しいです。

そんなときは、疲れた気持ち、傷ついた気持ちをそのまま吐き出して下さい。

「え?ネガティブなことを言ってもいいの?」

と思われるかもしれませんが、いいのです!

なぜなら、感情は吐き出されることでリセットに近づいていくからです。
(心理学用語で「カタルシス」と言います。)

むしろ、本当はネガティブな気持ちなのに、それを押し殺し、無理にポジティブな言葉を吐き出す方が、心にとっては危険な場合もあります。

ネガティブ感情が吐き出されないことで、たまっていきます。

どんどんたまって、最後には一気に爆発してしまい、回復に時間がかかる、というようなことになりかねません。

バケツに水を入れ過ぎたら溢れるようなものです。

そうならないためにも、コツコツネガティブ感情を吐き出していきましょう。

  • 疲れたなあ
  • なんだかもう、嫌になっちゃったな
  • 何で私ばっかりこんな目にあうのだろう
  • ほんと、うんざりッ
  • もう、泣きたい気持ちだよ

こんな感じで、日々部屋に掃除機をかけたり雑巾がけをするみたいに、自分の心も掃除するのです。

目を閉じて、自分の呼吸に意識を向ける

3つ目は、いわゆるマインドフルネスです。

「マインドフルネス」とは、「心(マインド)を一カ所に全力で(フルで)向ける」ことです。

「何かに意識を向けることによって、一体何が変わるの?」

「何のためにやるの?」

と、思いますよね。

意識を一点に向けることで、次のメリットがあります。

  • 嫌な気分やぐるぐる思考から抜け出せる
  • 自分の状態(どこが疲れてるとか、痛いとか)に気づける
  • 自分が生きているという実感を得られる

「意識を向ける」というのは、「よく注意して、感じてみる、言葉にしてみる」ということです。

例えばですが、意識を呼吸に向けてみます。

「今吸っている、吐いている」

「鼻ですって、口で吐いてる。次は、口で吸って、口で吐いてみようかな」

「鼻が詰まってるな。右鼻の方が特に詰まっているかも」

こんな具合です。

やってみると、「呼吸ひとつとっても、案外自分の状態が分かっていないんだ」ということが分かりませんか。

また、呼吸に意識を向けることで、その他の雑念、不安や悲しみから抜け出すことが出来ます

不安にならないようにしなきゃ、悲しまないようにしなきゃ、自分を責めないようにしなきゃと、〇〇しないようにすることって、意外と難しいです。

ですが、呼吸に意識を向けると、段々と呼吸を感じることに集中して、ネガティブ感情から抜け出すことができたりします。

まとめ

今回は、憂うつな夜に読む『人間失格』の名言集というテーマの記事でした。

人間関係や仕事、学業など大変なことが多い世の中です。

『人間失格』の名言紹介を通して、少しでも癒やされる方がいましたら、幸いです。

この記事を書いた人

都内私立大学を卒業→大学院進学→メーカーに就職←イマココ、のアラサーブロガー。高校3年生の現代文の授業で、『舞姫』(森鴎外)の解説を受けてから文学にハマり、以降文学書を読み漁る。好きな作家は村上春樹、夏目漱石、太宰治。
いろんな作品の考察や感想を書いていきます。たまに書評も。

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