竜とそばかすの姫の知君(ともくん)は病気?ASはクリオネ?考察してみた

竜とそばかすの姫

今回は、知君ともくんのASと病気について考察します。

知君ともくんのASのモデルはクリオネ!

知君のASのモデルはクリオネではないかと思われます。

クリオネは海中を漂うプランクトンの一種です。
そしてこちらがクリオネの姿になります。

知君ともくんのASと姿が似ていることが分かります。

また、作中で鈴は知君のASを見て「あ、天使」と言っていました。
クリオネは別名を「流氷の天使」と言います。
天使のような見た目、というのも知君ともくんのASとクリオネの共通点です。

クリオネは変身願望の現れ?~知君ともくんのASがクリオネの理由~

さてかわいらしい見た目のクリオネですが、実は恐ろしい面もあります。
それは「獲物を捕らえる時の変身」です

獲物を捕らえる瞬間に、頭部から突起が何本も飛び出す様子が見られます。
バッカルコーンというらしいです。

ASはオリジンの抑圧された願望を形にすることが作中で語られます。

知君ともくんは、父親からDVを受ける自分を否定したかったのではないでしょうか。
あるいは、自分や自分のお兄さんを傷つける父親に対し、反撃できるような自分になりたかったのかもしれません。

そのような今の自分の姿の否定が、姿を変えたいという願望に転じ、変身願望となり、
クリオネの「変身能力」と結びついたのではないでしょうか。

あるいは、これは全くの想像ですが、亡きお母さんから「天使みたい」と言われて育ってきたのかもしれません。
父親から優しくしてもらえない知君ともくんは、お母さんから愛された頃の記憶に従って、
自分の姿を天使のように変えたかったのかもしれません。

知君ともくんは病気なの?

知君ともくんを見ていて、「何かの病気なのかな?」と漠然と感じたので、知君の病気説について考えてみました。

結論から書くと、知君ともくんには
ADHDや自閉症的な傾向があります。

知君ともくんのADHD的な傾向

一般的に知られているADHD的な特徴としては、下記が挙げられます。

・じっとしていられず常に身体のどこかがもじもじと動いている(貧乏ゆすり、爪かみ、頭をかく、髪を触るなど、手足をかく)
・何度注意されても同じことを繰り返す(走らないように注意されても、すぐに走り回る、など)
・目的の物があるとそれしか目に入らずに突進していく(周りに障害物があっても目に入らずにぶつかったり踏んだりする)

出典:https://kidshug.jp/check/check02/

じっとしていられずもじもじしてしまうのは、序盤の知君ともくんの家族がシングルファーザーの家族のモデルとしてインタビューを受けるシーンで見られる行動です。

また何度注意されても同じことを繰り返してしまうのは、お父さんが仕事中に歌を歌う知君ともくんを叱りつけるシーンの言葉が証明しています。

知、その歌はなんだ。父さんが仕事しているのに迷惑になるとは思わないのか。
(中略)
なぜいつも父さんの言うことを聞けない
(中略)
もう一度教えなければ分からないか。分からないなら…

竜とそばかすの姫 知君のお父さん

また、鈴が知の家の近くに来たときに、知君ともくんは一目散に飛び出してきました。
目的の物があるとそれしか目に入らずに突進していくような性質も見られます。

知君ともくんの自閉症的な傾向

一般的に知られている自閉症的な特徴は下記になります。

・社会的コミュニケーションや対人関係の困難さ(=コミュニケーションがうまく取れないなど)
・限定された行動、興味、反復行動(=強いこだわりが見られるなど)
・表情などから相手の気持ちを読み取ることができない
・言葉の遅れが見られる、周囲とのコミュニケーションが難しい ・気に入ったセリフやフレーズを繰り返す

https://life.litalico.jp/hattatsu/mailmag/134/

知君ともくんはお父さんの仕事中に歌を歌い、注意されますが、歌うことをやめませんでした。
これは、表情などから相手の気持ちを読み取ることができないためと思われます。

また、ベルの歌を歌い続けることから、限定された行動、興味、反復行動(=強いこだわりが見られるなど)、気に入ったセリフやフレーズを繰り返すことも見られます。

さらに、竜について「一皮むいたろう」からインタビューを受けた際には、「竜は、僕の、ヒーロー、なんだ」とどもりながら話していました。
言葉がやや不自由な点から、言葉の遅れも見られます。

以上のように複数の点で、ADHDと自閉症の症状に当てはまる点が見られました。

作中で断定はされていませんが、以上の二つ知君ともくんの病気としては推測できます。

まとめ

今回は、知君ともくんのAS「クリオネ」についてと、知君ともくんの病気について考えてみました。
物語の中とはいえ、見ていてつらくなるシーンが多くありました。
僕はまだ自分のことで手一杯で身の回りの少しの人しか助けられていませんが、必ず力をつけて、もっとたくさんの人を助けられる人間になりたいです。
それでは、また。


この記事を書いた人

都内私立大学を卒業→大学院進学→メーカーに就職←イマココ、のアラサーブロガー。高校3年生の現代文の授業で、『舞姫』(森鴎外)の解説を受けてから文学にハマり、以降文学書を読み漁る。好きな作家は村上春樹、夏目漱石、太宰治。
いろんな作品の考察や感想を書いていきます。たまに書評も。

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