『天気の子』の陽菜が天気の巫女になった理由を考察!答えは血!?

今回は、『天気の子』(2019)で、ヒロインの天野陽菜(アマノヒナ)が天気の巫女になった理由を考察してみます。
結論は、血筋によるもので、親からの継承ではないかと思われます。

陽菜(ヒナ)の首輪と、母の手首のブレスレット

陽菜(ヒナ)は一度天上に連れ去られた後、帆高(ホダカ)によって助けられます。
2人が天上から帰還して鳥居の前で横たわるシーンでは、陽菜(ヒナ)のネックレスがちぎれています。

このネックレスはかなり短く、首にフィットしているため、首輪のように見えていました。
首輪は飼い主がペットに自分の所有物であることを示すためにつけるものです。

そして、「東京の天気を晴れにするための生贄になる」という天気の巫女としての役割を放棄したタイミングで、首輪のようなネックレスはちぎれました。

このことから、ネックレスは陽菜(ヒナ)が天気の巫女であり、天の所有物であることを暗示していた言えます。

そして、実はこのネックレスの石、陽菜(ヒナ)のお母さんの手首に元々ついていたものなのです。
天気の子の冒頭シーンで、病院のベッドに横たわる母が一瞬映し出されます。
その手首にはブレスレットが巻いてあり、そこには陽菜(ヒナ)のネックレスの石とよく似た石がついています。

天気の巫女を象徴するネックレスの石が、母の手首にもついていたのです。

このことから、陽菜(ヒナ)の母も天気の巫女だったのではないかと推測できます。
母も子も天気の巫女だとすると、天気の巫女は血筋によってなるのではないでしょうか。

超自然的な力は血に宿る

新海誠監督は前作『天気の子』(2016)でも、血による超自然的な能力の継承を物語に取り入れています。

ヒロインの宮水三葉(ミヤミズミツハ)は宮水神社の巫女であると同時に、東京に住む立花瀧(タチバナタキ)と人格が入れ替わるという超自然的な能力を持っていました。
また、作中でこの入れ替わりは宮水家の女性が代々持っていた能力であることも明かされます。

また、最新作(執筆時点2023.4)の『スズメの戸締り』(2022)でも「閉じ師」草太(ソウタ)はその役割を代々引き継いでいることが示されています。

このように、『天気の子』前後の二作で新海誠監督が血による役割・超自然的な能力の継承を作中取り入れており、『天気の子』でもそのような設定があるという解釈も成立するのではないでしょうか。

さらに、他のアニメ作品を見回しても、例えば「魔女の宅急便」では主、人公キキに対し母が「魔女はね、血で飛ぶの」という言葉を掛けます。

日本の伝統的なアニメにも、血による役割・超自然的な能力の継承は見られることがわかります。
(そういえば、「スズメの戸締り」では挿入歌で「魔女の宅急便」の主題歌が流れていましたね)

まとめ

今回は、陽菜(ヒナ)の天気の巫女の役割と天気を操る能力が血によるものではないか、という考察をしました。
陽菜(ヒナ)のお母さんの背景とかも気になるところですが、映画では出てきませんでした。
原作には書いてあるんですかね。
いずれ調査してみたいです。
それでは。

おまけ

「石」は“いし”という読みで、「意志」の言い換えかも、とふと思いました。
陽菜(ヒナ)が最初に天気を晴れにしたのは。「母にもう一度晴れ間を見せたい」という「意志」があったからです。
天気の巫女になるトリガーには、「意志」も関わってくるかもしれません。

この記事を書いた人

都内私立大学を卒業→大学院進学→メーカーに就職←イマココ、のアラサーブロガー。高校3年生の現代文の授業で、『舞姫』(森鴎外)の解説を受けてから文学にハマり、以降文学書を読み漁る。好きな作家は村上春樹、夏目漱石、太宰治。
いろんな作品の考察や感想を書いていきます。たまに書評も。

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