『論語と算盤』渋沢栄一の名言まとめ

名言

はじめに

記事を開いて頂き、ありがとうございます!

今回は、渋沢栄一『論語と算盤』※の名言をピックアップしてみました。
※現代語訳 論語と算盤 渋沢栄一 守屋淳・訳 ちくま新書 2010

渋沢栄一は「日本実業界の父」と呼ばれ、近代日本の資本主義を設計した張本人です。
JR、日経新聞、みずほ銀行、明治神宮などの設立に関わっただけでなく、慈善団体も500以上関わっています。

さらに、資本主義を設計する際には、資本主義の持つ危うさ=「欲望の暴走」に目を向け、それに歯止めをかけるような仕組みを、制度に盛り込もうとしました。

そのときに参考にされたのが、孔子の『論語』だといいます。
『論語』は「人としてどう生きるべきか」の処世術を説いた、自己啓発書のようなものです。

『論語と算盤』は渋沢栄一の講演の内容を集めたもので、タイトルはまさに、「人としてどうあるべきか」という倫理・道徳と、「実業」をかけ合わせたものとなっています。

それでは、早速名言を見ていきましょう!

名言1 人の一生は重荷を負うて遠き道を行くがごとし

人の一生は重荷を負うて遠き道を行くがごとし

『論語と算盤』渋沢栄一 守屋淳・訳 第一章 処世と信条

この格言は、元は徳川家康が残した教訓ですが、『論語』の教えとも符合するのだそうです。
徳川幕府は200年以上、15代にわたって日本を平和に治め続けました。

渋沢栄一は、徳川家康が処世術に長けていたために、長く政権を維持できたのだと言っています。

人は大人になるにつれ、重い荷物を背負っていくことになります。
家族ができれば養わなければなりませんし、仕事を続ければ次第に重要な役割を担うようになります。
自分がしくじれば多くの人たちに迷惑をかけたり、大事な人を守れなくなるかもしれないのです。

そういうプレッシャーの中で日々生き抜いていかなければならないのは、中々にきついものですよね。

そんなときにこの格言を思い出すと、「ああ、先人たちもきつい思いをしながら、何とか一日一日を生き抜いてきたのだ。きついのは自分だけじゃないのだ」と思えて、心が少し軽くなります。

名言2 逆境に立たされた場合(中略)「自己の本分」だと覚悟を決める

逆境に立たされた場合(・・・中略・・・)「自己の本分(自分に与えられた社会のなかでの役割分担)」だと覚悟を決める(・・・中略・・・)どんなに頭を悩ませても結局、「天命」であるから仕方がない。

世の中のことは、自分次第な面も多く、自分から「こうしたい、ああしたい」と本気で頑張れば、大体はその思い通りになる

『論語と算盤』渋沢栄一 守屋淳・訳 第一章 処世と信条

この格言は、自分が苦しい状況に置かれたときに気持ちを整えてくれる名言です。

逆境に立たされた時に「もっと別の道もあったのに」「あの時こうしておけば・・・」と後悔の念に悩まされることは、よくあることだと思います。

しかし、後悔しても心のエネルギーがすり減るばかりで、状況がよくなりません。

大切なのは後悔することではなく、反省を生かし、現状を打開するための行動することです。

天命だから仕方ない。とある意味諦め、腹をくくることで、だらだらと自分を責めることをやめたり、後悔することを辞めることに繋がります。

そうすれば、きっと打開策のヒントが降ってきます。

また、最近「お金持ちの考え方」的な本を数冊読んだのですが、「自分はなら出来ると信じている」というマインドが、どの本でも通して書かれているように感じました。

渋沢栄一も大成功した実業家でお金持ちかと思います。

やはり、「為せば成る」「やればできる」「頑張ればたいていのことは思い通りになる」と信じることは、成功するうえで大切なことなのかもしれません。

名言3 一度決意したなら、ぜひとも伸るか反るかの快挙を試みるべきだ

度決意したなら、ぜひとも伸るか反るかの快挙を試みるべきだ
同時に、自分の身の丈を忘れないようにして、バランスを取らなければならない。

『論語と算盤』渋沢栄一 守屋淳・訳 第一章 処世と信条

およそ人間が世間とのつきあい方を誤るのは、だいたいにおいて、さまざまな感情が爆発してしまうからなのだ(中略)喜怒哀楽はバランスをとる必要があるのだ

『論語と算盤』渋沢栄一 守屋淳・訳 第一章 処世と信条

本書を読む中で、渋沢栄一が「バランス」をとても大事にしていたことが分かってきました。

実は最初に読んだときは「矛盾したことをことを言う人だな」と思ったのです。
例えば、上に引用したように、「伸るか反るかの勝負をしろ」といったかと思えば、直後には「身の丈を忘れるな」と言います。
どっちなの?矛盾してるじゃないか。と言いたくなりました(笑)

しかし、日を置いて改めて読み返してみると、この「矛盾」こそが、渋沢栄一の神髄なのではないかという気がしてきたのです。

人生において、「どんなときでも常にこうあるべきだ」という指針って、意外と少ないのではないかと思うのです。
状況に応じて適切に自分の感情や行動を調節して、トータルで上手くいくように進めていく。
柔軟にその場に合わせた振る舞いが求められるのが、人生ではないでしょうか。

そう考えると、「人生の指針」も、結局は一つの面から見たものだけでは不十分で、逆の面から見た指針も、同じくらい重要なのではないかと思えてくるのです。

そういう意味では、「矛盾した教え」こそが、人生のより多くの局面に通ずる、完成された教えなのではないでしょうか。

渋沢栄一は物事の両面を見ることがとても得意だったのだと思います。

名言4 名声とは、常に困難でいきづまった日々の苦闘のなかから生まれてくる

名声とは、常に困難でいきづまった日々の苦闘のなかから生まれてくる。失敗とは、得意にあっている時期にその原因が生まれる

『論語と算盤』渋沢栄一 守屋淳・訳 第一章 処世と信条

この格言は現実が苦しいときに勇気を与えてくれますね。

人は往々にして困難に対しては尻込みしてしまうし、行きづまると「あーどうしてできないんだ」「どうして俺だけこんな目に・・・」とネガティブになってモヤモヤしてしまうものです。

しかし、心が後ろ向きでは、現状を打開するいいアイデアは思い浮かびません。

苦しいときにこの格言を思い出せれば、今苦しいのは名声へのチャンスだと、苦しさを前向きに捉えることができるかもしれませんね。
前向きになれたらきっといいアイデアも思い浮かびます。

もちろん、限界なら逃げるが勝ちのこともありますが(笑)
健康第一です。

まとめ

いかがだったでしょうか。

今回は、『論語と算盤』渋沢栄一の名言をまとめてみました。
近代日本の経済を発展させた偉人だけあって、元気をもらえるような、世の中をうまく渡れるような言葉たちが溢れていました。
また別の記事で、他の名言もご紹介出来たらと思います。

ここまでお読み頂き、ありがとうございました。
それでは、また次回。

■参考文献

現代語訳 論語と算盤 渋沢栄一 守屋淳・訳 ちくま新書 2010

この記事を書いた人

都内私立大学を卒業→大学院進学→メーカーに就職←イマココ、のアラサーブロガー。高校3年生の現代文の授業で、『舞姫』(森鴎外)の解説を受けてから文学にハマり、以降文学書を読み漁る。好きな作家は村上春樹、夏目漱石、太宰治。
いろんな作品の考察や感想を書いていきます。たまに書評も。

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