『Bling-Bang-Bang-Born』の歌詞の意味を考察

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はじめに

今回は、『Bling-Bang-Bang-Born』(Creepy Nuts, 作詞:R-指定, 作曲:DJ松永)の歌詞の意味を考察していきます。

作詞はR-指定さん、作曲はDJ松永さんです。
ラッパーのR-指定さんが書いた歌詞だけあって、韻がぎゅうぎゅうに詰め込まれています。

足の踏み場もないほどです。
韻だけに・・・

今回の考察では、歌詞の主人公がどのような人物なのか?の観点で考察します。

そして、結論は、この歌詞の「俺」はR-指定さん本人です。

また、一言で言うとこの曲は、「挑戦者が自分を励ます歌」「ありのままの自分を肯定する歌」です。

それでは、見ていきましょう。

※以降、歌詞の中に出てくる、歌詞の主人公を「俺」と表記します。

「俺」は挑戦者

生身のまま行けるとこまで To the next, To the 1番上

『Bling-Bang-Bang-Born』Creepy Nuts

歌詞の中で二回現れるこちらのフレーズには、上に行きたい、一番上になりたい、という思いが込められています。

「一番になりたい」ということは、逆に言えば、「俺」はまだ一番にはなれていないのです。

つまり、「俺」は挑戦者だと言えます。

また、「相変わらず脱皮してる毎日」という歌詞には、今もなお「俺」が成長していることを表しています。
逆に言えば「俺」は成長途中であり、完成されていない状態だと言えます。
この部分も「俺」が挑戦者であることを示しています。

「俺」は戦っている

歌詞の中で、「敵」を表すような歌詞が何度も出てきます。

ライバル口をそろえて
(中略)
相手の方がばっくれて
(中略)
お前のiceよりicy
(中略)
輩(やから)とまんまで張り合えて

『Bling-Bang-Bang-Born』Creepy Nuts

「ライバル」「相手」「お前」「輩」どれも自分が戦うべき「敵」を示す言葉たちです。
「俺」には敵がいて、「俺」は戦いの中に身を置いていると言えます。

「俺」はビッグマウス

歌詞の冒頭部分は、「敵」から見た「俺」の姿が語られます。

チート、gifted、荒技 (中略) 反則、異次元 (中略) コレおま全部生身で?

『Bling-Bang-Bang-Born』Creepy Nuts

「チート」「gifted」「異次元」・・・など、「俺」の圧倒的な強さを示すような言葉たちが並びます。

「俺」はそれなりに力があり、周囲から一目置かれる存在だと言えます。

しかし、上で書いたようにまだ挑戦者であり、完成されてはいません。
それでも自身の圧倒的な強さを語る点で、「俺」はビッグマウスだといえます。

「俺」の音楽は圧倒的なチカラを持っている

さて、ここまでで、いったい「俺」は何に挑戦しているのか?
何の分野で敵と戦い、一番になりたがっているのか?
何がそんなに強いのか?
が気になってくると思います。

その答えは「音楽」です。

それが以下の歌詞に現れています。

この存在自体が文化財な脳みそ
(中略)
この「ベロ」がBling-Bling
(中略)
音楽、幸運、勝利の女神、今宵も三股Bang-Bang
(中略)
圧倒的チカラこの頭と口から

『Bling-Bang-Bang-Born』Creepy Nuts

「生身」の「俺」は腕力ではなく、「音楽」「口」「ベロ」「脳みそ」戦います。
音楽で世界一に挑戦しようとしているのです。

ここまで歌詞を読むと、「俺」は明らかにR-指定さん自身のことのように読めますね。(笑)

圧倒的チカラこの頭と口から

『Bling-Bang-Bang-Born』Creepy Nuts

こちらの部分で「チカラ」を漢字表記ではなく、カタカナ表記にしている点も、腕力の意味での物理的な「力」ではなく、音楽的な「チカラ」が圧倒的であることを表現しています。
また、「生身」で戦うことがフレーズとして繰り返される点も、「音楽」で戦うことを考えると符合しますね。

「俺」の出身地がR-指定さんの出身地と同じ

バレットなら満タン、関西なまり生身のコトダマ

『Bling-Bang-Bang-Born』Creepy Nuts

「関西なまり生身のコトダマ」とあります。
R-指定さんは大阪府大阪市出身で、バリバリの関西人、関西弁のなまりがあるかと思われます。

こちらの点でも、Bling-Bang-Bang-Bornの歌詞は、R-指定さん自身ではないかと思えてきます。

「俺」は生身で戦う

Bling-Bang-Bang-Bornには「生身」という単語が合計で六回も出てきます。

生身、ということは武器や他人の力を使わず、自分の力で戦うことを表現しています。

そういうスタンスは「誰の七光りも要らない」という歌詞や、「Eyday俺のままでいるだけで超flex」「俺のままでBlingして」の部分にも現れる、曲を貫くポリシーです。

「誰の七光りも要らない」は、親のコネを使わずに戦うことを意味していますし、「俺のままでいるだけで超flex」では、自分を偽ったり飾ったりしないということです。

また、ありのままの自分自身を肯定しようとする姿勢が見られます。

もっと言えば、無理もしない、したくないことはしない、とも言えるかもしれません。
無理をしたり、他人の要求に合わせて自分を無理やり型にはめたり、着飾ったりしないことの決意としても捉えられるかもしれません。


あくまで他人に捕らわれず、自分のままで、行けるところまで行く、一番上を目指す、そんなポリシーが歌詞に現れています。

「俺」は実は持ってないものが多い

俺、ぱっと見できないことばっかりだけどvery happy
(中略)
学歴も無い、前科も無い
(中略)
高級車は買える、免許は無い

『Bling-Bang-Bang-Born』Creepy Nuts

この辺りは、上のビッグマウスの部分とのギャップを感じます。
「俺」は決して何でもできる完ぺきな存在ではなく、音楽に特化しているのでしょう。
「俺」が完ぺきではないという点は、共感できるというか応援したくなりますね。

まとめ

ここまでの考察をまとめるとこうなります。
「Bling-Bang-Bang-Born」の歌詞は、R-指定さん自身を反映したものです。

そして、「俺」(=R-指定)さんは、かなりの実力者ですがまだ自分を完成されたものとは捉えておらず、日々挑戦者として一番上を目指して戦っています。

そして、「俺」は他者に捉われず、ありのままの自分を肯定し続け、ありのままの自分で頂点に挑み続けているのです。

この歌は、そんな挑戦者であるR-指定さん自身を励ます歌であるとともに、何かに挑戦するすべての人の背中を押すような、そんな歌ではないでしょうか。

それでは、また次回。

この記事を書いた人

都内私立大学を卒業→大学院進学→メーカーに就職←イマココ、のアラサーブロガー。高校3年生の現代文の授業で、『舞姫』(森鴎外)の解説を受けてから文学にハマり、以降文学書を読み漁る。好きな作家は村上春樹、夏目漱石、太宰治。
いろんな作品の考察や感想を書いていきます。たまに書評も。

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